ユニットを知る
ミッション・ビジョン Mission & Vision

多様な生きづらさを包摂し、
熊本地域から「Well-beingが循環する社会」を共創する。
だれかが抱える生きづらさは、その人だけの問題ではありません。孤立、偏見、心の不調――
こうした「見えにくい困りごと」に地域全体で気づき、支え合えること。それが、わたしたちの考えるウェルビーイングの土台です。
ウェルビーイングユニットは、特別な支援を必要とする人にとってやさしい場が、結果としてすべての人にとって過ごしやすい場になると考えます。産業の発展とともに多様な人々が集まる熊本だからこそ、この考えを地域のみなさまとともに育て、世界が注目する「D&Iとウェルビーイングのモデル都市」を目指します。
わたしたちが大切にする3つの視点
安心を起点に
学びも育ちも暮らしも、まず「安心できること」から始まると考えます。
ちがいを当たり前に
多様な人がいることを前提に、だれもが参加できる場をつくります。
経験を科学に
現場の実践から得られたデータをもとに、確かな根拠のある支援モデルを築きます。
ウェルビーイングとは About

ウェルビーイング(well-being)とは、心と体が満たされ、自分らしく生きられている状態のことです。「健康」よりも少し広く、安心感、人とのつながり、毎日の充実感などをふくむ、ゆたかさのことだと考えるとわかりやすいかもしれません。
たとえば、安心して話せる相手がいること。学校や職場、地域に居場所があること。
自分のペースで物事に取り組めること。こうした一つひとつが、ウェルビーイングを形づくっています。特別なことではなく、毎日の暮らしのなかにあるものです。
D&I(多様性と包摂)とのつながり
わたしたちの活動では、ウェルビーイングと並んで「D&I」という言葉を大切にしています。
D&Iとは、多様性(Diversity)と包摂(Inclusion)のこと。年齢、国籍、障害の有無、考え方のちがいなど、
さまざまな人がいることを当たり前として受けとめ、だれもが参加し活躍できる状態を指します。多様な人がたがいを認め合えてはじめて、一人ひとりのウェルビーイングも実現します。
もっと知るウェルビーイングの専門的な背景
ウェルビーイングは、研究の世界ではいくつかの側面から捉えられています。生活全体の満足度や日々の感情といった「主観的ウェルビーイング(subjective well-being)」と、自己実現や意味のある生き方に注目する「持続的ウェルビーイング(eudaimonic well-being)」が代表的です。
教育やポジティブ心理学の分野では、ポジティブ感情・没頭・人とのつながり・意味・達成の5要素からなるPERMAモデルなどが知られています。
国際的にも、D&IとウェルビーイングはSDGsや組織ガバナンスの中核課題となり、地域の持続可能性・人材確保・学習や就労の成果とも直結すると位置づけられています。わたしたちのユニットでは、こうした知見をふまえ、「心理的安全性(安心して発言し、失敗もできる状態)」を学びと育ちの土台と捉える立場を大切にしています。
用語のミニ解説
“心理的安全性”
「ここでは安心して発言したり、失敗したりできる」と感じられる状態のこと。
心理的安全性は、組織や集団の学びと成長を支える基盤として、教育・医療・企業など幅広い分野で重視されています。
J-PEAKS事業と背景J-peaks

急速に変わりゆく熊本で、「見えない生きづらさ」を可視化する
いま熊本では、半導体産業の集積が急速に進み、国内外から多くの人が集まる、大きな変化のただ中にあります。働く人や暮らす人が増え、まちは多様な文化が交わる場へと変わりつつあります。その一方で、孤立や孤独、偏見、心の不調といった「見えにくい困りごと」への対応が、これまで以上に大切になっています。
熊本大学は、こうした変化を地域の力に変えていくため、国の「J-PEAKS(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)」に採択され、半導体研究を核とした「持続可能な産業都市」づくりに取り組んでいます。ウェルビーイングユニットは、その大きな構想を支える「社会共創ユニット」の一つとして、産業や技術といった“まちのかたち”を支える、人と社会の側の土台づくりを担っています。
どれだけ産業が発展しても、そこで暮らす一人ひとりが安心し、たがいの違いを認め合えなければ、まちは本当のゆたかさには届きません。わたしたちは、急速に多様化する熊本地域において、住民のみなさまのD&Iへの意識と、ウェルビーイングを高めることを目指しています。
もっと知るJ-PEAKSとは
J-PEAKS(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)は、地域の中核となる大学や特色ある研究力をもつ大学を国が集中的に支援し、日本全体の研究力を牽引する研究大学群を育てることを目的とした事業です。実施主体は日本学術振興会(JSPS)で、2023年度に始まりました。
熊本大学は2024年度の採択校で、「半導体実装から社会共創研究を通じて地域イノベーションの実現と持続可能な産業都市構想を目指す」をテーマに掲げています。
ウェルビーイングユニットは、この事業のなかに置かれた社会共創ユニットの一つです。
※「J-PEAKS」の名称には、頂(peak)が連なる山脈のように高い研究力をもつ大学群を形成するという期待が込められています。
ユニットの仕組み
ハブ&スポークUnit

1つの「中核」が、5つの現場をつなぐ。
ウェルビーイングユニットは、「ハブ&スポーク」という仕組みで動いています。自転車の車輪のように、中心となる「ハブ(中核)」から、5つの現場のプロジェクト(スポーク)が放射状に広がり、たがいに支え合う形です。
中心のハブは、ウェルビーイングを測るものさし(共通指標)づくりや、データの分析、人材育成を担います。5つのプロジェクトはそれぞれの現場で実践に取り組み、そこで得られた「心の変化」や「行動の変化」のデータをハブへ持ち寄ります。ハブはそれを統合し、より精度の高い支援のかたちへと磨き上げて、ふたたび各現場へ還していきます。
この「実践 → データ → 改善」の循環によって、経験だけにたよらない、データに裏打ちされた「熊本ウェルビーイングモデル」を確立することを目指しています。
もっと知る学際協働という独創性
ウェルビーイングユニットの大きな特色は、これまで別々に研究されることの多かった分野が、一つの目的のもとに集まっている点にあります。
心理学(文系)を中核に、精神科領域・公衆精神衛生などの医学系、AI・VR・センシングなどの工学系、さらにアートや生涯スポーツの専門家までが協働します。分野の垣根を越えたこの協働そのものが、複雑な地域の課題に応えるための、新しい挑戦です。
外周=地域・社会 / プロジェクト同士も連携
クリックして各プロジェクトを見る
中心のハブがユニット全体の「ものさし」と「土台」をつくり、6つのプロジェクトがそれぞれの現場で実践します。外周の矢印は、プロジェクト同士も連携していることを表しています。図の各要素を選ぶと、ここに説明と詳細ページへのリンクが表示されます。
リーダー紹介Leader
ウェルビーイングユニットは、熊本大学の多様な分野の研究者に加え、医療・福祉・自治体・企業、さらに国内外の連携機関のメンバーが参加する大型のチームです(2026年5月現在、計48名)。
ここでは、ユニット全体を統括するプロジェクトマネージャー、中核となるハブプロジェクトのリーダー、ポイントとなる5つのサブプロジェクトのリーダーを紹介します。

プロジェクトマネージャー(全体統括)
菊池 哲平きくち てっぺい
- 所属・職位大学院教育学研究科・教授 / 博士(心理学)
- 専門分野発達臨床心理学・特別支援教育
主要な研究・活動
- 自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害のある人の自己理解・情動理解の発達と、その支援方法に関する研究
- 通常学級における授業のユニバーサルデザインや、インクルーシブ教育システムに関する研究
- 臨床心理士、特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)。日本授業UD学会・日本LD学会・日本ダウン症学会などで理事等を務める

ハブプロジェクト・リーダー
高崎 文子たかさき ふみこ
- 所属・職位大学院人文社会科学研究部・准教授 / 博士(人間科学)
- 専門分野教育心理学・実験心理学(動機づけ・達成行動)
主要な研究・活動
- 乳幼児期からの目標志向性(やる気・動機づけ)の形成と、社会的承認が達成行動に与える影響に関する研究
- 多様性を受けとめる学校環境や、多様な教育的ニーズのある子どもへの支援・配慮に関する調査研究(菊池教授らとの共同研究)
- ハブプロジェクトの中核として、ウェルビーイングを測る共通指標の策定とデータ分析、人材育成を担う

サブプロジェクト1 : 支援接続
黒山 竜太くろやま りゅうた
- 所属・職位大学院教育学研究科・准教授
- 専門分野臨床心理学・学校臨床・地域支援
主要な研究・活動
- 子どものアセスメントと心のケア、学校現場における心理的支援に関する実践研究
- 熊本地震後の児童のアセスメントと心のケアの実践など、地域に根ざした支援の取り組み
- 熊本県臨床心理士・公認心理師協会会長、熊本市いじめ防止等対策委員会委員長などを歴任

サブプロジェクト2 : 文化的処方
松永 拓己まつなが たくみ
- 所属・職位大学院教育学研究科・教授
- 専門分野美術教育・絵画 / アートによる地域貢献
主要な研究・活動
- 絵画制作を中心とする美術表現の研究と、二紀展会員優賞などの受賞歴をもつ作家活動
- 屋外壁画制作による地域貢献(附属特別支援学校・台湾・八代など)や、ものづくりと教育を融合した実践研究
- 熊本大学キャンパスミュージアム構想に携わり、アートの力を地域に広げる活動を推進

サブプロジェクト3 : 健康寿命延伸(菊陽モデル)
山縣 和也やまがた かずや
- 所属・職位大学院生命科学研究部・教授 / 健康長寿代謝制御研究センター長
- 専門分野代謝学・内分泌学(糖尿病・健康長寿)
主要な研究・活動
- 糖尿病やインスリン分泌、転写因子・サーチュイン(SIRT7)などをめぐる代謝制御の分子機構に関する研究
- 健康長寿代謝制御研究センター長として、地域と連携した健康寿命延伸の社会共創研究を主導
- 2025年度(第62回)エルウィン・フォン・ベルツ賞を受賞

サブプロジェクト4 : デジタル・セラピューティクス(DTx)
伊賀崎 伴彦いがさき ともひこ
- 所属・職位大学院先端科学研究部(工学系)・教授
- 専門分野感性情報学・生体医工学(脳波・心拍変動の解析)
主要な研究・活動
- 脳波や心拍変動などの生体信号の計測・解析を通じて、人の感情・疲労・状態を客観的にとらえる研究
- VRを用いた学習支援や、生体センシングによる心身状態のモニタリング技術の開発
- 医療・福祉・教育に生体医工学を応用する学際的な研究を展開

サブプロジェクト5 : AIロボット
牧之段 学まきのだん まなぶ
- 所属・職位大学院生命科学研究部(神経精神医学講座)・教授
- 専門分野精神医学(統合失調症・自閉スペクトラム症の病態研究)
主要な研究・活動
- 統合失調症や自閉スペクトラム症をめぐる、免疫・神経回路の観点からの病態解明研究
- 社会的な孤立が脳(前頭前皮質 : mPFC)や身体に与える影響に関する研究
- 精神疾患の病態に基づく、新たな支援・介入手法の開発をめざす研究を推進
メンバー一覧Member
ハブプロジェクト
| 氏名 | 所属・役職 |
|---|---|
| 菊池 哲平(リーダー)きくち てっぺい | 教育学研究科・教授(PM) |
| 高崎 文子(リーダー)たかさき ふみこ | 人文社会科学研究部・准教授 |
| 安村 明やすむら あきら | 社会文化科学研究部・教授 |
サブプロジェクト1 : 支援接続プロトコルと地域支援力強化
| 氏名 | 所属・役職 |
|---|---|
| 黒山 竜太(リーダー)くろやま りょうた | 教育学研究科・准教授 |
| 中武 章子なかたけ あきこ | 社会文化科学研究部・准教授 |
| 本吉 大介もとよし だいすけ | 教育学研究科・准教授 |
| 半田 健はんだ けん | 教育学研究科・准教授 |
| 疋田 眞紀ひきた まき | 障がい学生支援室・特任助教 |
サブプロジェクト2 : 文化的処方によるウェルビーイング向上の実践
| 氏名 | 所属・役職 |
|---|---|
| 松永 拓己(リーダー)まつなが たくみ | 教育学研究科・教授 |
| 田中 尚人たなか なおと | 先端科学研究部(工学系)・准教授 |
| 高崎 文子たかさき ふみこ | 人文社会科学研究部・准教授 |
| 池川 佳宏いけがわ よしひろ | 人文社会科学研究部(文学系)・准教授/文学部附属国際マンガ学教育研究センター・兼務教員 |
| 田中 一平たなか いっぺい | 研究開発戦略本部・特定事業教員 |
サブプロジェクト3 : 健康寿命延伸を目指した社会共創研究の推進
| 氏名 | 所属・役職 |
|---|---|
| 山縣 和也(リーダー)やまがた かずや | 生命科学研究部・教授/健康長寿代謝制御研究センター長 |
| 窪田 直人くぼた なおと | 生命科学研究部・教授(副センター長) |
| 竹林 実 | 生命科学研究部・教授 |
| 牧之段 学まきのだん まなぶ | 生命科学研究部・教授 |
| 梶谷 直人かじたに なおと | 生命科学研究部・助教 |
| 梶原 伸宏かじわら のぶひろ | 生命科学研究部・特任助教 |
| 津山 友徳つやま とものり | 生命科学研究部・助教 |
| 荒井 秀典あらい ひでのり | 国立長寿医療研究センター・理事長 |
| 櫻井 孝さくらい たかし | 国立長寿医療研究センター・研究所長 |
| Liang-Kung Chen | National Yang Ming Chiao Tung University / Taipei Municipal Gan-Dau Hospital・Professor / Director |
| 和田 征 | 菊陽町役場・健康福祉部次長兼介護保険課長 |
| 上村 剛 | 株式会社ルネサンス・熊本光の森クラブ支配人 |
| Brad Peng | TSMC Charity Foundation・CEO |
サブプロジェクト4 : デジタル・セラピューティクス(DTx) : “生きづらさ”への支援モデル開発
| 氏名 | 所属・役職 |
|---|---|
| 伊賀崎 伴彦(リーダー)いがさき ともひこ | 先端科学研究部(工学系)・教授 |
| 大河内 彩子おおこうち あやこ | 広島大学大学院医系科学研究科 地域保健看護開発学・教授 |
| 福島 聡ふくしま さとし | 生命科学研究部 皮膚病態治療再建学講座・教授 |
| 猿渡 淳二さるわたり じゅんじ | 生命科学研究部 薬物治療設計学講座・教授 |
| 檜垣 匠ひがき たくみ | 先端科学研究部(理学系)・教授 |
| 中村 五月なかむら さつき | 生命科学研究部(保健学系)・准教授 |
| 小笠原 嘉祐確認中 | 特定医療法人社団ピネル会/社会福祉法人リデルライトホーム・会長、理事長 |
| 石本 淳也いしもと じゅんや | 社会福祉法人リデルライトホーム・施設長 |
| 山下 建昭やました たけあき | 独立行政法人国立病院機構菊池病院・病院長 |
| 松本 祐一郎まつもと ゆういちろう | 社会福祉法人キリスト教児童福祉会 児童心理治療施設こどもL.E.C.センター・施設長 |
| 青山 光一あおやま こういち | 熊本市経済観光局産業部 起業・新産業支援課・産学連携コーディネーター |
| Louise Birkedal Glenthøj | Department of Psychology, University of Copenhagen (Denmark)・Associate professor(Head of VIRTU Research Group) |
| Ditte Lammers Vernal | Department of Psychiatry, Aalborg University Hospital (Denmark)・Associate professor(OPUS-Early intervention services) |
| Hasse Jacobsen | Odense Kommune・Chef for Handicap og Sindslidelse |
| Tara Kusum | ポスドク(2026年10月〜雇用予定) |
| 牧之段 学まきのだん まなぶ | 神経精神科・教授 |
サブプロジェクト5 : 孤立社会を支えるAIロボットの創出と社会実装
| 氏名 | 所属・役職 |
|---|---|
| 牧之段 学(リーダー)まきのだん まなぶ | 神経精神科・教授 |
| 柏田 夏子かしわだ なつこ | 神経精神科・特別研究員 |
| 福田 千春ふくだ ちはる | 神経精神科・技術補佐員 |
| 小林 牧子こばやし まきこ | 先端科学研究部(工学系)・教授 |
| 伊賀崎 伴彦いがさき ともひこ | 先端科学研究部(工学系)・教授 |
| 近藤 英治こんどう えいじ | 生命科学研究部(産婦人科)・教授 |
| 植田 光晴うえだ みつはる | 生命科学研究部(脳神経内科)・教授 |
| 岩見 真吾いわみ しんご | 名古屋大学理学研究科(理学専攻)・教授 |
| 宮﨑 智之みやざき ともゆき | 横浜市立大学 産学連携推進センター・教授・特命副学長 |
| 薛 立君 | Ludens AI, inc.・CEO |